マルハナバチ国勢調査
画像 画像 画像 画像 画像 画像

 

●マルハナバチの1年

マルハナバチはミツバチと同じ社会性の昆虫で、巣(コロニー)を作り、1頭の女王バチと、彼女から生まれたたくさんの働きバチ、繁殖期にだけ生まれてくる雄バチからなる家族で生活します。ミツバチと違い、女王バチの寿命は1年で、毎年新しい女王バチが新しいコロニーを作ります。長い冬を土の中で越した女王バチは、春、冬眠から目覚め、新しいコロニーを作る場所を探します。巣を作る場所として、主にネズミの古巣など、土の中にあけられた穴を利用します。巣を作る場所を決めた女王ばちは、自身が分泌するロウと花粉を混ぜ合わせて育房(幼虫が育つ部屋)を作り、花から集めてきた花粉と蜜を混ぜ合わせて詰め、そこに産卵します。この卵が孵化し、成虫となるまでの間、女王バチは育児に大忙しです。子供たちのために餌を集め、巣にいる間は育房を抱いて暖めます。最初の働きバチが生まれると、女王バチはようやく産卵に専念できるようになります。働きバチの数が増えてくると、外に出て餌を集めるものと、巣の中にいて育児や巣の管理を担当するものとの分業化がすすみ、コロニーもだいぶ落ち着いてきます。種類によっては、最盛期には働きバチが数百頭を数える大きなコロニーに発達することもあります。

生活史

さて、夏が過ぎ、秋の声が聞こえるようになると、女王バチは生涯最後の大仕事に取りかかります。次の世代を担う、新女王バチと雄バチとなる卵を産むのです。これが終わってしばらくすると、女王バチはその生涯を閉じます。働きバチはせっせと新女王バチや雄バチとなる幼虫に餌を与えます。特に新女王バチとなる幼虫には、他の幼虫よりも長期間にわたって餌を与え続けます。こうして秋には立派な新女王バチと雄バチが生まれてきます。雄バチはいったんコロニーを離れると、再び戻ることはありません。あちこち飛び回り、あるいは待ち伏せをして、新女王バチとの出会いを探します。新女王バチとの交尾を果たした雄バチは、冬が訪れる前に静かにその短い生涯を閉じます。一方、新女王バチは、生まれ育ったコロニーを離れて長い冬眠に入り、再びやってくる春を待ちます。

●マルハナバチの食事

マルハナバチが一生涯に口にする餌は、すべて花から得られるものです。幼虫は花粉と蜜を練り合わせたものを食べて成長します。花粉は体を作るタンパク源や脂肪分、蜜はエネルギー源になります。成虫になるとやがて蜜しか口にしなくなります。マルハナバチはたくさんの子供たちを育てるため、たくさんの花粉や蜜を必要とします。マルハナバチが訪れる花は、それぞれの働きバチによって違っています。働きバチを集めて並べてみると、その理由がわかります。マルハナバチは同じ種類、あるいは同じコロニーの中でさえも、働きバチごとに体の大きさがとても違っています。これはマルハナバチが幼虫の時に、数頭まとめて育房の中で育てられることによります。そのときにたくさん餌を食べられたものは大きな働きバチに、餌にあまりありつけなかったものは小さな働きバチになります。小さい働きバチは巣の外に出ず、もっぱら巣の維持管理、幼虫の世話などに従事します。これは幼虫を一頭一頭、正確に同じ大きさの育房の中で育てるミツバチとは大きな違いです。このためマルハナバチは、さまざまな花から蜜を集め、同時にさまざまな花の受粉に携わっているのです。